成長株投資戦略

戦略フレームワーク2:業績の成長を確認する

成長株投資は、企業の成長力を見極めて、その成長に乗じて利益を得る戦略です。特に重要なのは、企業が直近でどれだけ成長しているか、そしてその成長が持続可能であるかを評価することです。オニールやミネルヴィニなどの投資家も、業績の成長を株価上昇の兆候として捉えています。本記事では、成長株の候補銘柄を絞り込むために、どのように企業の業績を確認するか、その具体的なポイントについて整理していきます。

本記事の内容
  • 企業の業績成長を確認する際、短期的な成長勢いと長期的な安定性の両方が重要/li>
  • オニールのCANSLIM手法では、四半期ごとのEPS成長に注目
  • ミネルヴィニのアプローチは、利益の質も重視し、短期と長期の成長をバランス良く確認する

業績の成長を確認するためのポイント

成長株投資を行う際には、企業の成長力を確認するいくつかの重要なポイントがあります。単に直近の業績が良いだけではなく、安定的な成長を示しているかどうかが投資判断の決め手となります。また、成長の質も見逃せません。これから、候補銘柄を絞り込むための具体的な業績確認方法について、各ポイントごとに詳しく見ていきます。

EPS(1株当たり利益)の成長を重視する

EPSは、企業がどれだけ効率的に利益を生み出しているかを示す指標です。EPSの成長は、単に売上高が増えているだけではなく、コスト削減や効率化が進んでいることを意味します。オニールのCANSLIM手法でも、EPS成長は最も重要な指標の一つとされています。

売上高成長率の確認

売上高の成長は、企業がどれだけ市場において需要を増やしているかを測る重要な指標です。特に新規顧客をどれだけ獲得できているか、既存顧客との取引量をどれだけ拡大しているかが焦点となります。売上が順調に伸びている企業は、その成長が利益へとつながる可能性が高く、投資対象として注目されます。

成長の質と安定性を探る

企業の成長が一時的なものではなく、長期にわたって持続可能かどうかを確認することも大切です。急激に成長している企業が長期的にその勢いを維持できるかを見極めるためには、売上高とEPSの両方に着目し、それらが安定して増加しているかを確認することが必要です。

直近の成長の勢いを確認する

直近の業績成長は、企業の健康状態を評価するための重要な指標です。短期間で大きく成長している企業は、株価の初動を捉える絶好のチャンスとなります。ここでは、特に四半期ごとの成長率に注目し、オニールやミネルヴィニがどのように勢いのある企業を見極めているかを解説します。

四半期ごとのEPS成長率をチェックする

オニールのCANSLIM手法では、直近四半期のEPS成長率が前年同期比で25%以上であることが目標です。さらに、過去2四半期続けて大幅にEPSが増加している銘柄を選ぶことにより、成功率を高めることができます。これにより、企業が短期間で急成長しているかを確認し、投資の判断がしやすくなります。

売上高の短期的な成長を確認する

売上が直近の四半期で少なくとも25%以上増加しているか、または売上増加率が直近3四半期で加速しているかを確認します。このような成長を示す企業は、売上が順調に伸びているため、利益の持続的な成長も期待されます。売上の加速が見られる企業は、成長株としての可能性が高まります。

成長の安定性を確認する

短期的な成長だけではなく、企業の成長が長期的に続くかどうかを確認することが重要です。成長株は一時的に株価が上昇しても、その後の安定した成長がなければリスクが高くなります。オニールやミネルヴィニの手法では、過去数年にわたる安定した成長を重視し、その企業が今後も成長を続けられるかを評価します。

過去数年間の成長トレンドを確認する

オニールは、過去3年間にわたり20~25%以上の年間成長率を維持している企業を好んで投資対象にします。短期的な成長だけでなく、過去の成長が安定しているかを確認することで、企業が長期的に成長を続けられるかを見極めます。

ROE(自己資本利益率)も確認する

ROEは、企業がどれだけ効率よく株主の資本を運用しているかを示す指標です。オニールはROEが最低でも17%以上である企業を重視しています。ROEが高い企業は、収益性が高く、成長の持続性が期待されます。特に、ROEが継続して高い企業は、株価の長期的な上昇を支える要因となることが多いです。

業績成長の評価で気を付けるべきポイント

成長株投資においては、業績を確認する際に以下の点に注意しながら、企業の成長を冷静に見極めることが必要です。

四半期の前年同期比で評価する

四半期ごとの成績を評価する際には、前年同期比で比較することが重要です。季節ごとに業績が変動する企業が多いため、前年同時期と比較することで、季節要因による影響を排除し、正確な成長を評価することが可能です。例えば、小売業や旅行業では季節的なピークがあるため、この比較が必須です。

利益の質を評価する

オニールとミネルヴィニは共通して、企業の利益の質を重視しています。単に利益が増加しているだけでなく、その利益がしっかりとした基盤に支えられているかが重要です。例えば、一時的な臨時収益ではなく、持続的な成長力があるかどうかを確認することで、安定した成長株を選ぶことができます。

同一セグメント内での比較が大切

業界ごとに成長速度や経営環境が異なるため、同じセグメント内で企業を比較することが大切です。同一業界の中でどの企業が最も競争力を持っているかを見極めることで、成長株を選別する精度が向上します。

PERは割安水準を調べるものではない

一般に、PERは株価が利益に対して割高かどうかを測る指標として使われますが、成長株投資においては、PERが高いことが必ずしも割高を意味しません。成長株では、PERが数十倍や数百倍で取引されることが多く、これは企業の将来の成長期待を織り込んでいるためです。オニールやミネルヴィニの考え方では、PERの高さはEPSの成長率を反映したものであり、株価が高値を更新するための前兆ともなり得ます。
また、PERは株価の天井を確認するための指標としても活用されます。PERが極端に高い場合、企業の成長がすでに株価に織り込まれている可能性があり、適切な売り時を見極めるサインとして使うことができます。高PERだからといって自動的に株価が割高と判断するのではなく、成長率とのバランスでPERを評価することが重要です。

まとめ

本記事では、オニールやミネルヴィニなど、成長株投資の名著から学んだ内容を基に、企業の業績成長を確認するための方法を解説しました。成長株投資においては、短期的な成長の勢いを捉えることは重要ですが、それが一時的なものでないか、長期的な成長力があるかを慎重に評価する必要があります。売上高、EPS、ROEなどの指標を活用し、同業他社との比較や注意点を抑えながら、成長株を見極めることで、リスクを抑えつつ大きなリターンを狙える投資戦略を実現できるでしょう。

ABOUT ME
たくすけ
サラリーマンをしながらFIRE目指してます 投資のために学んだことをアウトプットしつつ自身の運用実績も公開していきます。 主な投資先は米国株、日本株、フィリピン株、暗号資産です。